産業廃棄物収集運搬業許可の欠格要件とは?許可を取得できないケースを解説
産業廃棄物収集運搬業の許可申請では、車両や運搬容器、講習会の修了などの要件を満たすだけでは十分ではありません。
申請者本人や法人の役員、政令で定める使用人などが「欠格要件」に該当していないことも重要な許可要件です。
欠格要件に該当すると、産業廃棄物収集運搬業の許可を取得できない場合があります。また、すでに許可を取得している事業者が後から欠格要件に該当した場合には、許可取消しにつながることもあります。
この記事では、産業廃棄物収集運搬業許可の欠格要件について、行政書士がわかりやすく解説します。
1.産業廃棄物収集運搬業の「欠格要件」とは?
欠格要件とは、簡単にいうと、**「産業廃棄物を適正に処理することが期待できない一定の者を、許可の対象から除外するための要件」**です。
廃棄物処理法では、産業廃棄物処理業の許可について、申請者が欠格要件に該当していないことを許可基準の一つとしています。
環境省も、欠格要件について「法に従った適正な業の遂行を期待し得ない者を類型化して排除する」ための制度と説明しています。(環境省)
そのため、
- 車両が用意できている
- 事業計画に問題がない
- 講習会を修了している
- 経理的基礎などの要件を満たしている
といった条件を満たしていても、欠格要件に該当すれば許可を受けられません。
2.産業廃棄物収集運搬業の欠格要件は誰が対象?
ここが重要なポイントです。
欠格要件は、申請者本人だけを確認すればよいわけではありません。
法人の場合には、役員や政令で定める使用人などについても確認が必要です。
具体的には、法人・個人の区分に応じて、次のような人が確認対象となります。
法人の場合
- 法人そのもの
- 取締役などの役員
- 業務を執行する社員
- 執行役
- これらに準ずる者
- 一定の支配力を持つ者
- 政令で定める使用人
などが対象となります。
特に「政令で定める使用人」は、単なる従業員全員を意味するわけではありません。
例えば、本店・支店の代表者や、一定の契約締結権限を持つ事業所の代表者などが該当します。(群馬県公式サイト)
したがって、法人の産業廃棄物収集運搬業許可を申請する場合には、代表取締役だけでなく、役員や該当する使用人についても事前確認することが重要です。
3.代表的な欠格要件① 破産して復権を得ていない
欠格要件の一つとして、
破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない者
が挙げられます。
「過去に破産したことがある=永久に産廃許可を取得できない」という意味ではありません。
重要なのは、現在「復権を得ているかどうか」です。
そのため、過去に破産経験がある場合でも、それだけで直ちに許可を取得できないとは限りません。
4.代表的な欠格要件② 一定の刑罰を受け、5年を経過していない
一定の犯罪について刑に処せられた場合も欠格要件に該当する可能性があります。
例えば、廃棄物処理法などに違反して刑罰を受けた場合や、一定の生活環境関連法令違反などが対象になります。
また、拘禁刑以上の刑に処せられた場合には、刑の執行を終えた日などから5年を経過していない者が欠格要件に該当します。(群馬県公式サイト)
ここで注意したいのが、「罰金なら必ず大丈夫」というわけではないことです。
法律で定められた一定の違反については、罰金刑であっても5年間の欠格要件に該当する場合があります。
したがって、過去に刑事処分を受けたことがある場合は、罪名・刑罰の種類・刑の確定時期などを確認する必要があります。
5.代表的な欠格要件③ 過去に許可取消しを受けている
過去に産業廃棄物処理業などの許可を取り消された場合も注意が必要です。
一定の許可取消しを受け、その取消しの日から5年を経過していない場合には、欠格要件に該当することがあります。(群馬県公式サイト)
さらに、法人の許可取消しでは、取消処分に関係する一定期間内に役員であった者についても欠格要件の対象となる場合があります。
そのため、
「以前の会社で許可取消しを受けたが、今回は新しい会社を作ったから大丈夫」
とは必ずしもいえません。
新しく設立した法人であっても、役員などの人的関係について慎重に確認する必要があります。
6.代表的な欠格要件④ 許可取消し前に廃業届を提出した
少し注意が必要なのが、許可取消しを避けるために、取消処分に係る手続が進んでいる段階で事業を廃止するケースです。
一定の場合には、許可取消しに係る通知を受けた後、その処分が行われるまでの間に事業の全部廃止届を提出すると、廃止届を提出した者などが一定期間欠格要件に該当することがあります。(群馬県公式サイト)
これは、単純に「廃業届を出せば許可取消しを回避できる」という制度ではないことを意味します。
廃業や法人変更などを行う場合には、行政処分との関係を慎重に確認する必要があります。
7.代表的な欠格要件⑤ 不正・不誠実な行為をするおそれがある
法律では、
その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
も欠格要件とされています。(群馬県公式サイト)
これは、単純な犯罪歴だけを見るものではありません。
産業廃棄物処理業を適正に行うことが期待できない事情がある場合には、欠格要件に該当する可能性があります。
産廃許可では、単に書類を揃えるだけでなく、申請者の適格性についても確認されるということを理解しておきましょう。
8.代表的な欠格要件⑥ 暴力団員等に該当する
産業廃棄物処理業については、暴力団排除の観点から、さらに欠格要件が定められています。
具体的には、
- 暴力団員である
- 暴力団員でなくなった日から5年を経過していない
- 法人の役員等に該当者がいる
- 政令で定める使用人に該当者がいる
- 暴力団員等が事業活動を支配している
といった場合が対象になります。(群馬県公式サイト)
特に法人の場合は、会社代表者だけでなく、役員や政令で定める使用人についても確認が必要です。
暴力団排除規定は、産業廃棄物処理業の重要な欠格要件の一つです。
9.法人の場合は「役員の欠格要件」に注意
産業廃棄物収集運搬業許可の申請で、実務上特に注意したいのが法人の役員です。
例えば、
「会社自体には問題がない」
としても、
「取締役の一人が欠格要件に該当している」
場合には、法人として許可を受けられない可能性があります。
廃棄物処理法では、法人について、その役員や政令で定める使用人の中に欠格要件に該当する者がいる場合も欠格要件とされています。(群馬県公式サイト)
そのため、新規申請では、
会社の状態だけでなく、人の状態を確認することが非常に重要です。
10.未成年者の場合にも注意が必要
営業について成年者と同一の行為能力を有しない未成年者については、法定代理人が欠格要件に該当する場合、欠格要件に該当することがあります。
つまり、未成年者本人だけでなく、法定代理人についても確認が必要になる場合があります。(群馬県公式サイト)
11.欠格要件に該当すると「許可が取れない」だけではない
欠格要件は、新規申請のときだけ注意すればよいものではありません。
すでに産業廃棄物収集運搬業の許可を取得している事業者が、後から欠格要件に該当する場合があります。
この場合、内容によっては許可取消しにつながります。
実際に廃棄物処理法では、産業廃棄物収集運搬業者が一定の欠格要件に該当するに至った場合、都道府県知事が許可を取り消さなければならないと規定されています。(e-Gov)
つまり、欠格要件は、
「許可を取る前だけ確認すればよい条件」ではありません。
許可取得後も継続して注意する必要があります。
12.欠格要件に該当した場合は届出が必要になることも
産業廃棄物処理業者が一定の欠格要件に該当するに至った場合には、該当するに至った日から2週間以内に届出が必要となる場合があります。(群馬県公式サイト)
そのため、許可取得後に、
- 役員が刑事処分を受けた
- 許可取消しを受けた
- 欠格要件に関係する事情が発生した
などの場合には、「とりあえず様子を見る」のではなく、速やかに行政への届出が必要か確認することが重要です。
13.欠格要件の確認でよくある注意点
「自分は問題ないから大丈夫」は危険
法人の場合、代表者だけを確認して終わりではありません。
役員や政令で定める使用人などについても確認する必要があります。
「罰金だから問題ない」は危険
犯罪の種類によっては罰金刑も欠格要件に関係します。
「懲役ではないから大丈夫」と自己判断しないことが大切です。
「昔のことだから関係ない」も危険
欠格要件には「5年を経過していない者」など、一定期間を基準とするものがあります。
過去の処分や刑罰については、いつ処分を受けたのか、いつ刑の執行を終えたのかなどを確認する必要があります。
「会社を作り直せば大丈夫」とは限らない
法人の役員などについても欠格要件が確認されるため、会社を新しく設立しただけで過去の問題がすべてなくなるわけではありません。
14.産業廃棄物収集運搬業許可の申請前に確認しておきたいこと
新規申請をする場合は、次のような項目を事前に確認しておくと安心です。
- 申請者本人に欠格要件がないか
- 法人の場合、役員に欠格要件がないか
- 政令で定める使用人に欠格要件がないか
- 過去に許可取消しを受けていないか
- 過去の刑罰・罰金等について確認したか
- 暴力団員等に該当する者が関係していないか
- 過去の廃業届について問題がないか
- 不正・不誠実な行為をするおそれがあると判断される事情がないか
欠格要件は、許可申請の中でも特に慎重に確認したいポイントです。
15.欠格要件だけでなく「許可基準」も確認する
産業廃棄物収集運搬業許可を取得するためには、欠格要件に該当しないことだけでなく、事業を的確かつ継続して行うための施設・能力などの基準を満たす必要があります。
環境省も、産業廃棄物処理業の許可について、申請者の能力や施設等が基準に適合していることと、欠格要件に該当しないことの両方が重要であるとしています。(環境省)
したがって、許可申請では、
①欠格要件の確認
②施設・車両等の確認
③事業を適正に行う能力の確認
④必要書類の準備
というように、全体を整理して進めることが大切です。
まとめ|産廃許可では「誰が申請するのか」の確認が重要
産業廃棄物収集運搬業許可の欠格要件は、許可申請における非常に重要なポイントです。
特に注意したいのは、
- 破産して復権を得ていない
- 一定の刑罰を受けてから5年を経過していない
- 一定の許可取消しから5年を経過していない
- 不正・不誠実な行為をするおそれがある
- 暴力団員等に該当する
- 法人の役員や政令で定める使用人に欠格要件該当者がいる
といったケースです。(群馬県公式サイト)
また、欠格要件は申請者本人だけではなく、法人の役員や政令で定める使用人なども確認対象となる点に注意が必要です。
産業廃棄物収集運搬業許可を新しく取得する場合は、車両や講習会の準備だけでなく、申請者・役員・使用人などの欠格要件を申請前に確認しておくことをおすすめします。
鹿児島県で産業廃棄物収集運搬業許可の取得をお考えの方は、申請先となる行政機関の最新の手引き・運用も確認しながら準備を進めると安心です。
確認用の一問一答
Q1.産業廃棄物収集運搬業許可の「欠格要件」とは何ですか?
A.法に従った適正な業務を行うことが期待できない一定の者を、許可の対象から除外するための要件です。
Q2.過去に破産したことがある人は、必ず産廃許可を取得できませんか?
A.いいえ。破産手続開始の決定を受けていても、復権を得ている場合は、破産したことだけを理由に欠格要件に該当するとは限りません。
Q3.刑罰を受けた場合は、どのような点に注意が必要ですか?
A.刑の種類や犯罪の内容、刑の執行終了等からの経過期間によって欠格要件に該当するか判断する必要があります。
Q4.法人の代表取締役だけが欠格要件の確認対象ですか?
A.いいえ。役員や政令で定める使用人などについても確認が必要です。
Q5.暴力団員でなくなれば、すぐに許可を取得できますか?
A.いいえ。暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者も欠格要件の対象となります。
Q6.欠格要件は新規許可申請のときだけ確認すればよいですか?
A.いいえ。許可取得後に欠格要件に該当した場合、許可取消しにつながることがあります。
Q7.欠格要件に該当した場合、届出が必要になることがありますか?
A.はい。一定の欠格要件に該当した場合には、該当した日から2週間以内の届出が必要になる場合があります。
Q8.欠格要件に該当しなければ、必ず産廃許可を取得できますか?
A.いいえ。欠格要件を満たすことは許可要件の一つです。車両・施設・能力など、その他の許可基準も満たす必要があります。
この記事のポイント
産業廃棄物収集運搬業許可では、「車両があるか」だけでなく、「申請者や役員等に欠格要件がないか」まで確認することが重要です。
特に法人の場合は、代表者だけでなく役員・政令で定める使用人なども確認しましょう。
※本記事は2026年8月時点の法令・行政機関の公開情報をもとにした一般的な解説です。実際の申請では、申請先となる都道府県等の最新の手引き・運用をご確認ください。
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