産業廃棄物収集運搬業許可と一般廃棄物収集運搬業許可の違いを解説

「産業廃棄物収集運搬業許可と一般廃棄物収集運搬業許可は何が違うの?」

建設業者や解体業者、廃棄物の収集運搬を始めたい事業者から、このような質問を受けることがあります。

どちらも「廃棄物を運ぶための許可」ですが、対象となる廃棄物、許可を出す行政庁、許可の考え方などが異なります。

特に建設業者が関係することの多い「産業廃棄物」と、家庭などから出る「一般廃棄物」は、同じ「ごみ」でも法律上は別物として扱われます。

この記事では、産業廃棄物収集運搬業許可と一般廃棄物収集運搬業許可の違いを、行政書士の視点からわかりやすく解説します。

1.そもそも産業廃棄物と一般廃棄物は何が違う?

廃棄物処理法では、廃棄物は大きく「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分けられます。

産業廃棄物とは

事業活動によって発生する廃棄物のうち、法律で定められた20種類の廃棄物などをいいます。

建設工事では、例えば次のようなものが産業廃棄物に該当します。

  • がれき類
  • 木くず
  • 金属くず
  • 廃プラスチック類
  • ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず
  • 紙くず
  • 繊維くず

ただし、建設工事から発生する廃棄物については、排出事業者や業種によって産業廃棄物に該当するかどうかの判断が必要なものもあります。

一般廃棄物とは

産業廃棄物以外の廃棄物を一般廃棄物といいます。

代表的なものとして、家庭から出るごみなどがあります。

つまり、単純に「会社から出たごみ=産業廃棄物」ではありません。

事業活動から出た廃棄物でも、産業廃棄物に該当しないものは一般廃棄物となる場合があります。

2.産業廃棄物収集運搬業許可とは?

他人から委託を受けて、産業廃棄物の収集・運搬を業として行う場合には、原則として産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。

環境省も、産業廃棄物の収集または運搬を業として行おうとする者について、廃棄物処理法第14条第1項に基づく許可制度を案内しています。(環境省)

鹿児島県では、産業廃棄物収集運搬業の新規・更新許可申請を受け付けています。(鹿児島県公式サイト)

建設業者との関係

建設工事では、工事現場から発生した産業廃棄物を処理する場面が多くあります。

例えば、

「解体工事で出たがれきを処分場まで運搬する」

「リフォーム工事で出た廃プラスチックや木くずを運搬する」

といったケースです。

このような廃棄物の収集運搬を他人から委託を受けて業として行うのであれば、産業廃棄物収集運搬業許可が問題になります。

3.一般廃棄物収集運搬業許可とは?

一般廃棄物について、他人から委託を受けて収集・運搬を業として行う場合には、一般廃棄物収集運搬業の許可が必要になります。

一般廃棄物収集運搬業の許可は、環境省の手続案内でも、廃棄物処理法第7条第1項に基づく制度で、提出先は市町村とされています。(環境省)

ここが産業廃棄物収集運搬業許可との大きな違いの一つです。

一般廃棄物は市町村ごとの許可が基本

産業廃棄物収集運搬業許可が都道府県等の許可であるのに対し、一般廃棄物収集運搬業許可は基本的に市町村の許可です。

そのため、一般廃棄物を収集運搬する場合には、どの市町村で事業を行うのかを確認することが重要です。

4.産業廃棄物収集運搬業許可と一般廃棄物収集運搬業許可の違い

両者の違いを簡単に整理すると、次のようになります。

項目産業廃棄物一般廃棄物
対象産業廃棄物一般廃棄物
主な根拠廃棄物処理法第14条廃棄物処理法第7条
許可権者都道府県知事等市町村長
許可の単位都道府県等の区域を基本に判断市町村ごとに判断
建設業との関係非常に深いケースによる
主な例がれき、木くず、金属くず等家庭ごみ等

※実際の許可範囲や申請先については、地域や取り扱う廃棄物によって異なるため、個別に確認する必要があります。

5.「産廃許可があれば一般廃棄物も運べる」は間違い

よくある誤解が、

「産業廃棄物収集運搬業許可を持っていれば、一般廃棄物も運べるのでは?」

というものです。

これは原則としてできません。

産業廃棄物収集運搬業許可と一般廃棄物収集運搬業許可は別の許可です。

したがって、産業廃棄物を運ぶための許可だけを持っている事業者が、一般廃棄物の収集運搬を業として行う場合には、一般廃棄物側の許可についても確認する必要があります。

6.鹿児島県ではどうなっている?

鹿児島県内で産業廃棄物収集運搬業を行う場合、原則として鹿児島県知事の許可が関係します。

鹿児島市も、産業廃棄物収集運搬業について、原則として鹿児島県知事の許可があれば県内全域で収集運搬が可能と案内しています。もっとも、鹿児島市内だけで収集運搬を行う場合や、鹿児島市内に積替え保管場所を設ける場合などには、鹿児島市長の許可が必要となるケースがあります。(鹿児島市政情報)

一方、一般廃棄物については市町村の許可が基本です。

例えば鹿児島市では、鹿児島市内で一般廃棄物処理業を行う場合、鹿児島市長の許可が必要とされています。(鹿児島市政情報)

鹿児島市は一般廃棄物収集運搬業の許可業者名簿も公開しています。(鹿児島市政情報)

7.建設業者ならどちらの許可が必要?

建設業者の場合、まず確認したいのは工事で発生する廃棄物が産業廃棄物に該当するかです。

例えば、

「建設工事で発生したがれき類を処分場まで運搬したい」

「解体工事で発生した木くずを収集運搬したい」

という場合には、産業廃棄物収集運搬業許可が関係する可能性が高くなります。

一方、

「引っ越しで出た家庭ごみを運びたい」

「家庭から出た一般廃棄物を収集運搬したい」

といった場合には、一般廃棄物収集運搬業許可について確認する必要があります。

8.許可申請では「何を運ぶのか」が重要

産業廃棄物収集運搬業許可を取得する場合、単に「廃棄物を運びたい」というだけではなく、どの種類の産業廃棄物を取り扱うのかを明確にする必要があります。

鹿児島県も、産業廃棄物を委託する場合には、取り扱う産業廃棄物の種類について許可を有する事業者に委託し、契約時には許可証で確認するよう案内しています。(鹿児島県公式サイト)

そのため、許可申請を検討するときは、

  • 何の廃棄物を運ぶのか
  • どこから積み込むのか
  • どこへ運ぶのか
  • 使用する車両は何か
  • 車両を使用する権原があるか
  • 積替え保管を行うのか

などを整理することが重要です。

9.まとめ

産業廃棄物収集運搬業許可と一般廃棄物収集運搬業許可は、どちらも廃棄物を運搬するための許可ですが、対象となる廃棄物と許可を受ける行政庁が大きく異なります。

特に建設業者の場合は、工事から発生する廃棄物を収集運搬するケースが多いため、産業廃棄物収集運搬業許可について理解しておくことが重要です。

また、「産業廃棄物」と「一般廃棄物」の区分を間違えると、必要な許可を取得できていない状態で業務を行ってしまう可能性があります。

廃棄物の収集運搬を新たに事業として始める場合は、**「何の廃棄物を、誰から委託され、どこからどこへ運ぶのか」**を最初に整理しましょう。

鹿児島県で産業廃棄物収集運搬業許可の取得を検討している方は、申請前に必要な許可や書類を確認しておくと安心です。

一問一答

Q1.産業廃棄物と一般廃棄物は同じものですか?

A.いいえ、別の区分です。

産業廃棄物は法律で定められた種類の廃棄物で、一般廃棄物は産業廃棄物以外の廃棄物をいいます。

Q2.産業廃棄物収集運搬業許可があれば一般廃棄物も運べますか?

A.原則として運べません。

一般廃棄物を業として収集運搬する場合は、一般廃棄物収集運搬業許可について確認する必要があります。

Q3.一般廃棄物収集運搬業許可は誰が出しますか?

A.原則として市町村長です。

一般廃棄物収集運搬業の許可は、市町村単位で考えることが基本です。

Q4.産業廃棄物収集運搬業許可は誰が出しますか?

A.都道府県知事等です。

政令市などの場合には市長の許可となるケースがあります。

Q5.建設工事で出たがれき類を運ぶ場合、どちらの許可が関係しますか?

A.産業廃棄物収集運搬業許可が関係するのが一般的です。

ただし、実際の廃棄物の種類や事業内容を確認する必要があります。

Q6.産業廃棄物収集運搬業許可は、運ぶ廃棄物の種類を選ぶ必要がありますか?

A.はい。

取り扱う産業廃棄物の種類を確認し、許可内容に応じて収集運搬を行う必要があります。

Q7.鹿児島県の産業廃棄物収集運搬業許可があれば、鹿児島県内ならどこでも運べますか?

A.原則として県内全域で収集運搬が可能ですが、例外があります。

鹿児島市内だけで収集運搬を行う場合や、鹿児島市内に積替え保管場所を設ける場合などは、鹿児島市長の許可が必要となるケースがあります。(鹿児島市政情報)

Q8.産業廃棄物収集運搬業許可を取得すれば、家庭ごみの収集運搬もできますか?

A.できるとは限りません。

家庭ごみなどの一般廃棄物を業として収集運搬する場合には、一般廃棄物収集運搬業許可について確認する必要があります。

Q9.建設業者が産業廃棄物収集運搬業許可を取得するメリットはありますか?

A.あります。

自社の建設工事で発生する産業廃棄物の処理体制を整えられるほか、収集運搬業務を事業として行う場合にも許可が必要になります。

ただし、「自社で排出した産業廃棄物を自ら運搬する場合」と「他人から委託を受けて収集運搬する場合」では許可の考え方が異なるため、注意が必要です。

Q10.許可を取得する前に何を確認すればよいですか?

A.「何を・誰から・どこから・どこへ運ぶのか」を整理しましょう。

そのうえで、必要な許可の種類、取り扱う廃棄物の種類、車両、運搬方法、申請先などを確認することが大切です。

鹿児島県鹿児島市春山町の行政書士新川憲一事務所です。
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