産業廃棄物収集運搬業許可は個人事業主でも取得できる?
「産業廃棄物収集運搬業許可は、法人でないと取得できないの?」
建設業や解体業などを個人事業主として営んでいる方の中には、このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、産業廃棄物収集運搬業許可は、個人事業主でも取得できます。
環境省の手続案内でも、産業廃棄物の収集・運搬を業として行おうとする者が許可の対象とされており、個人申請の場合に必要となる書類も明示されています。(環境省)
この記事では、個人事業主が産業廃棄物収集運搬業許可を取得するためのポイントをわかりやすく解説します。
1.個人事業主でも産業廃棄物収集運搬業許可を取得できる
産業廃棄物収集運搬業許可は、法人だけに認められた許可ではありません。
個人事業主であっても、法律上の許可要件を満たしていれば申請できます。
例えば、次のような事業者が対象になります。
- 個人で建設業を営んでいる方
- 個人で解体業を営んでいる方
- 個人事業として運送業を営んでいる方
- 建設工事で発生する産業廃棄物を運搬したい方
つまり、「株式会社や合同会社を設立しなければ産廃収集運搬業許可を取得できない」というわけではありません。
2.個人事業主の場合は何が必要?
個人事業主として申請する場合、法人とは必要書類が一部異なります。
環境省の案内では、個人の場合、例えば次のような書類が必要とされています。
- 資産に関する調書
- 直前3年の所得税の納付すべき額・納付済額を証する書類
- 住民票の写し
- 登記事項証明書
- 事業計画の概要
- 事業を行うための技術的能力を説明する書類
- 事業開始に必要な資金の総額・調達方法を記載した書類
- 車両などの施設について使用権原を証する書類
(環境省)
法人の場合は決算書や定款、法人の登記事項証明書などが中心となりますが、個人事業主の場合は個人の資産・所得・納税状況などを確認する書類が重要になります。
3.個人事業主でも「経理的基礎」が重要
個人事業主が許可を取得する際に注意したいポイントの一つが、経理的基礎です。
産業廃棄物収集運搬業を適切かつ継続して行えるだけの経理的基礎が求められます。
単に「車を持っている」「建設業を営んでいる」というだけで許可されるわけではありません。
申請では、事業を継続して行えるだけの財務状況などを確認されることになります。
そのため、所得や納税状況、資産状況などについて、事前に確認しておくことが大切です。
4.講習会の修了も重要
産業廃棄物収集運搬業許可の申請では、産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会の修了が重要になります。
鹿児島県では、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが実施する講習会を受講し、修了証の交付を受けた者を、必要な知識・技能を備えた者として取り扱っています。
また、個人事業主の場合は、原則として申請者本人または政令第6条の10に規定する使用人が講習会を受講することになります。(鹿児島県公式サイト)
「個人だから講習会は必要ない」と考えないように注意しましょう。
5.車両についても準備が必要
産業廃棄物を収集運搬するためには、当然ながら運搬に使用する車両についても準備が必要です。
申請では、車両の車検証や写真、使用権原を証明する書類などを確認することになります。
特に、他人名義の車両を使用する場合には、使用権原をどのように証明するのかを確認しておく必要があります。
また、運搬する産業廃棄物の種類に応じて、飛散・流出を防止できるような運搬方法や容器などについても検討が必要です。
6.個人事業主が注意したい「欠格要件」
個人事業主の場合、申請者本人について欠格要件に該当していないかを確認する必要があります。
産業廃棄物処理業の許可では、一定の法令違反や破産手続など、法律で定められた欠格要件に該当すると許可を取得できない場合があります。
そのため、申請前に自分が欠格要件に該当していないか確認しておくことが大切です。
7.鹿児島県で申請する場合
鹿児島県で産業廃棄物収集運搬業許可を申請する場合は、鹿児島県の「産業廃棄物収集運搬業許可申請書(新規・更新)」に基づいて手続きを行います。
鹿児島県では、申請者の主たる事務所または事業場の所在地を管轄する地域振興局・支庁が基本的な受付窓口となります。
ただし、主たる事務所または事業場が鹿児島市内にある場合などは、鹿児島県の廃棄物・リサイクル対策課が窓口となる場合があります。
申請の際には、鹿児島県が公開している最新の「許可申請・届出の手引き」や様式を確認することが重要です。(鹿児島県公式サイト)
8.鹿児島市で事業をする場合は注意
鹿児島市内で産業廃棄物の収集運搬を行う場合、許可の扱いについて注意が必要です。
鹿児島市によると、産業廃棄物収集運搬業は原則として鹿児島県知事の許可があれば県内全域で収集運搬できます。
ただし、
- 鹿児島市内に積替え保管場所を設置する場合
- 鹿児島市内のみで収集運搬業を行う場合
- 鹿児島県と取り扱う産業廃棄物の品目が異なる場合
などは、鹿児島市長の許可が必要となる場合があります。(鹿児島市政情報)
「鹿児島県の許可を取れば、どんなケースでも鹿児島市で運搬できる」と考えないことが重要です。
9.個人事業主と法人、どちらがいい?
産業廃棄物収集運搬業許可を取得するためだけに、必ず法人化する必要はありません。
すでに個人事業主として建設業や解体業などを営んでいるのであれば、個人事業主のまま許可取得を検討することも可能です。
一方、将来的に事業を大きくする予定がある場合や、法人との取引を増やしたい場合などには、法人化を検討するケースもあります。
ただし、法人化すると許可の名義や申請者が変わるため、後々の手続きも考えて判断することが大切です。
10.個人事業主が許可取得を検討するなら
個人事業主でも産業廃棄物収集運搬業許可を取得することは可能です。
ただし、実際の申請では、
講習会 → 経理的基礎 → 欠格要件 → 車両・運搬施設 → 必要書類 → 申請先
など、複数のポイントを確認する必要があります。
特に建設業者の場合、
「自社の工事で出た産業廃棄物を運搬するだけだから許可は必要ない」
と考えてしまうことがあります。
しかし、産業廃棄物の収集・運搬を業として行う場合には、原則として産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。環境省も、産業廃棄物の収集または運搬を業として行おうとする者を許可の対象としています。(環境省)
「自分の場合は許可が必要なのか?」と迷ったときは、運搬する廃棄物の種類、誰が排出した廃棄物なのか、誰が運搬するのか、運搬先はどこなのかなどを整理して判断することが大切です。
まとめ
産業廃棄物収集運搬業許可は、個人事業主でも取得できます。
法人化しなければならないという決まりはありません。
ただし、個人事業主の場合でも、
- 経理的基礎
- 講習会の修了
- 欠格要件
- 運搬車両
- 車両の使用権原
- 事業計画
- 必要書類
などの要件を満たす必要があります。
鹿児島県で個人事業主として産業廃棄物収集運搬業許可を取得したい場合は、最新の県の手引きに沿って準備を進めることが重要です。
一問一答
Q1.産業廃棄物収集運搬業許可は個人事業主でも取得できますか?
A.はい、取得できます。
法人であることは許可取得の絶対条件ではありません。個人事業主でも必要な要件を満たせば申請できます。
Q2.産業廃棄物収集運搬業許可を取るために法人化する必要がありますか?
A.いいえ、必ず法人化する必要はありません。
個人事業主のまま許可取得を目指すことができます。
Q3.個人事業主の場合、決算書は必要ですか?
A.法人とは異なる書類が必要になります。
環境省の案内では、個人の場合、資産に関する調書や直前3年の所得税に関する書類などが挙げられています。(環境省)
Q4.個人事業主でも講習会を受講する必要がありますか?
A.はい、重要です。
鹿児島県では、必要な知識・技能を備えていることの確認として、所定の講習会の修了証を取得していることが取り扱いの基準となっています。個人の場合は原則として申請者本人などが受講します。(鹿児島県公式サイト)
Q5.建設業を営む個人事業主なら産廃許可は必要ありませんか?
A.いいえ。建設業者であっても、産業廃棄物の収集運搬を業として行う場合は、原則として許可が必要です。
建設業許可と産業廃棄物収集運搬業許可は別の許可です。
Q6.鹿児島県の許可があれば鹿児島県内で運搬できますか?
A.原則として県内全域で収集運搬できますが、例外があります。
鹿児島市内のみで収集運搬を行う場合や、鹿児島市内に積替え保管場所を設ける場合などは、鹿児島市長の許可が必要となる場合があります。(鹿児島市政情報)
Q7.個人事業主でも車両が必要ですか?
A.はい。
実際に産業廃棄物を収集運搬するための車両や、その使用権原などについて準備・確認が必要です。
Q8.産業廃棄物収集運搬業許可について専門家に相談できますか?
A.はい。
申請書類や車両、講習会、経理的基礎、申請先など確認事項が多いため、行政書士などの専門家に相談しながら準備する方法もあります。
鹿児島県で個人事業主として産業廃棄物収集運搬業許可の取得を検討している方は、まず現在の事業内容と運搬する産業廃棄物の種類を整理しておくと、申請準備を進めやすくなります。
鹿児島県鹿児島市春山町の行政書士新川憲一事務所です。
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