空き家を放置するとどうなる?管理不全空家・特定空家のリスクと対策を行政書士が解説

「実家が空き家になっているけれど、そのままにしている」

「誰も住んでいないので、多少古くなっても問題ないのでは?」

「市役所から空き家について通知が届いたけれど、どう対応すればいいのか分からない」

空き家を所有している方の中には、このような悩みを抱えている方も少なくありません。

しかし、空き家は誰も住んでいないからといって、何もしなくてよいわけではありません。

適切な管理をせずに放置すると、建物の老朽化が進むだけでなく、近隣住民への被害、行政からの指導・勧告などにつながる可能性があります。

さらに、状態が悪化すると「管理不全空家等」や「特定空家等」に関する措置の対象となることがあります。

また、管理不全空家等や特定空家等について一定の要件のもとで勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなる場合があります。

この記事では、空き家を放置することで生じるリスク、管理不全空家等・特定空家等とは何か、そして早めに取るべき対策について、行政書士の視点から分かりやすく解説します。


1.空き家を放置するとどうなる?

空き家を長期間放置すると、時間の経過とともにさまざまな問題が発生します。

代表的なリスクは次のとおりです。

  • 建物が老朽化し、屋根や外壁が破損する
  • 雨漏りなどによって建物内部が傷む
  • 庭木や雑草が繁茂する
  • 害虫・害獣が発生する
  • 不法侵入や不法投棄の原因になる
  • 景観が悪化する
  • 近隣住民とのトラブルにつながる
  • 屋根や外壁などが落下・飛散するおそれがある
  • 倒壊などによって周辺に危険を及ぼす可能性がある
  • 行政から指導・勧告などを受ける可能性がある

つまり、空き家問題は単に「建物が古くなる」というだけの問題ではありません。

所有者自身だけでなく、近隣住民や地域の生活環境にも影響する問題です。

国土交通省も、適切に管理されない空き家は、防災・防犯、衛生、景観などの面で周囲にさまざまな影響を及ぼす可能性があるとしています。


2.「管理不全空家等」とは?

令和5年12月13日に施行された改正空家法では、「管理不全空家等」の制度が新設されました。

管理不全空家等とは、簡単にいうと、

適切な管理が行われておらず、そのまま放置すれば特定空家等になるおそれがある空家等

をいいます。

従来は、すでに周辺に著しい悪影響を及ぼしている「特定空家等」への対応が中心でした。

しかし、改正後は、

特定空家等になる前の段階から、空き家の適切な管理を促す

仕組みが設けられています。

国土交通省によれば、市区町村長は管理不全空家等について、適切な管理を行うよう指導し、改善されない場合には勧告を行うことができます。

そのため、

「まだ倒壊しそうではないから大丈夫」

と考えて放置するのは危険です。


3.管理不全空家等に対して行政は何をする?

管理不全空家等については、まず市区町村から必要な措置を講ずるよう指導が行われることがあります。

それでも改善されない場合には、勧告が行われる可能性があります。

例えば、建物や敷地について、

  • 屋根や外壁の破損
  • 窓ガラスの破損
  • 庭木の著しい繁茂
  • 雑草の繁茂
  • ごみや放置物
  • 建物の老朽化

などが問題となり、周辺の生活環境に影響を及ぼす場合があります。

ただし、単に古いというだけで自動的に管理不全空家等になるわけではありません。

個々の空き家の状態や周辺への影響などを踏まえて、市区町村が判断することになります。

したがって、所有している空き家について気になる点がある場合は、行政から指導を受ける前に状態を確認しておくことが大切です。


4.「特定空家等」とは?

「特定空家等」とは、適切な管理が行われていない空き家のうち、放置することが問題となる状態にあるものです。

国土交通省のガイドラインでは、主に次の4つの状態が示されています。

① 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態

例えば、

  • 建物が大きく傾いている
  • 屋根や外壁が著しく破損している
  • 部材が落下するおそれがある

など、安全上の問題がある状態です。

② 著しく衛生上有害となるおそれのある状態

例えば、

  • ごみが大量に放置されている
  • 悪臭が発生している
  • 害虫・害獣が発生している

など、周辺の衛生環境に悪影響を及ぼす状態です。

③ 著しく景観を損なっている状態

建物や敷地の管理が著しく不十分で、周辺地域の景観に大きな悪影響を与えている状態です。

④ その他、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

例えば、

  • 不法侵入を誘発する状態
  • 不法投棄を誘発する状態
  • 立木などが周辺に危険を及ぼす状態

などが考えられます。

このように、特定空家等=必ずしも「今にも倒壊する建物」だけではありません。

周辺の生活環境への影響なども含めて判断されます。


5.特定空家等になるとどうなる?

特定空家等については、状況に応じて、

助言・指導
↓
勧告
↓
命令
↓
行政代執行

という措置が取られる可能性があります。

さらに、危険が切迫している場合には、通常の代執行とは別に、緊急代執行の制度が設けられています。令和5年改正空家法によって、この制度が創設されました。

また、命令に従わない場合には、法律上の罰則の対象となる可能性があります。

したがって、行政から通知や指導を受けた場合には、

「しばらく様子を見よう」

と放置するのではなく、通知の内容を確認し、必要な対応を早めに検討することが重要です。

なお、行政代執行が行われた場合の費用については、所有者等から徴収されることがあります。

「行政が解体してくれるから、自分は何もしなくていい」という制度ではありません。


6.固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなる可能性も

空き家を所有するうえで注意したいのが、固定資産税です。

住宅が建っている土地については、一定の要件を満たす場合、住宅用地の特例によって固定資産税の課税標準が軽減される仕組みがあります。

例えば、小規模住宅用地については、固定資産税の課税標準が価格の6分の1となる特例があります。

ただし、空き家の状態が悪化して管理不全空家等や特定空家等となり、市区町村から勧告を受けた場合には、一定の要件のもとで住宅用地特例の対象から除外されることがあります。

そのため、

「空き家を残しておけば土地の固定資産税が必ず安い」

とは限りません。

なお、「固定資産税が必ず6倍になる」と単純に考えるのは正確ではありません。

住宅用地特例がなくなることで課税標準が大きくなる可能性がありますが、実際の税額は土地の評価額や他の税制上の要素などによって異なります。


7.近隣トラブルや災害時のリスクにも注意

空き家を放置すると、行政上の問題だけでなく、近隣住民とのトラブルにつながる可能性があります。

例えば、

  • 庭木や枝が隣地に入り込む
  • 雑草が繁茂する
  • 害虫・害獣が発生する
  • 不法投棄が行われる
  • 不審者が侵入する
  • 屋根材や外壁などが飛散する

といった問題です。

特に鹿児島県内では、台風や強風、大雨などの自然災害によって、空き家の屋根や外壁、庭木などが周辺に被害を及ぼす可能性もあります。

平常時には問題がないように見えても、台風や大雨の後に建物の一部が破損することもあります。

空き家を所有している場合は、定期的な点検と管理を行うことが重要です。


8.空き家を放置しないための4つの選択肢

空き家を所有している場合は、単に放置するのではなく、今後どうするのかを決めることが重要です。

主な選択肢は次の4つです。

① 継続して管理する

将来的に自分や家族が利用する予定がある場合は、定期的に管理します。

例えば、

  • 換気
  • 通水
  • 草刈り
  • 庭木の剪定
  • 雨漏りの確認
  • 建物の点検
  • 郵便物の確認

などです。

国土交通省も、空き家の管理方法として定期的な換気、通水、庭木の伐採などを示しています。自分で管理できない場合には、管理を委託する方法もあります。

遠方に住んでいる場合は、空き家管理サービスなどの利用も検討しましょう。


② 売却する

今後利用する予定がない場合は、売却も有力な選択肢です。

ただし、売却前に、

  • 相続登記が済んでいるか
  • 所有者が誰なのか
  • 土地の境界が明確か
  • 接道状況に問題がないか
  • 再建築できる土地なのか
  • 建物を解体する必要があるか

などを確認する必要があります。

売却については、不動産会社などに相談し、売却可能性や価格を確認するとよいでしょう。


③ 解体する

建物の老朽化が著しく、利用や売却が難しい場合には、解体も選択肢になります。

ただし、

「古いからとりあえず解体する」

という判断は避けた方がよいでしょう。

解体費用だけでなく、

  • 解体後の土地をどうするのか
  • 土地を売却するのか
  • 土地を活用するのか
  • 更地にした場合の税負担はどうなるのか

なども含めて検討する必要があります。


④ 活用する

状態によっては、

  • 賃貸住宅
  • 店舗
  • 事務所
  • 民泊
  • 地域の施設

などとして活用できる可能性があります。

ただし、建物の状態や用途、地域の規制などによっては、改修や許認可等が必要になる場合があります。

そのため、活用を考える場合には、建物・土地の状況を確認したうえで専門家に相談することが重要です。


9.相続した空き家は「早めの対応」が重要

空き家問題では、

「親が亡くなって実家が空き家になった」

というケースが少なくありません。

相続した直後は、

「とりあえずそのままにしておこう」

「兄弟で話し合ってから決めよう」

と考えてしまいがちです。

しかし、時間が経過すると、

  • 建物がさらに老朽化する
  • 庭が荒れる
  • 修繕費が増える
  • 相続人同士の話し合いが難しくなる
  • 次の相続が発生する
  • 所有関係が複雑になる

といった問題につながる可能性があります。

相続した空き家については、

「何もしない」のではなく、「いつまでにどうするか」を決める

ことが重要です。

すぐに売却や解体を決める必要はありません。

まずは、

現状を確認する → 相続関係を整理する → 選択肢を比較する → 方針を決める

という順番で進めるとよいでしょう。


10.空き家を放置してしまうよくある失敗・注意点

失敗①「住んでいないから放置しても大丈夫」と考える

人が住んでいない建物は、換気や通水などが行われず、老朽化が進みやすくなります。

また、庭木や雑草の繁茂、不法侵入などの問題も発生する可能性があります。


失敗②「特定空家になってから対応すればいい」と考える

これは特に注意したいポイントです。

現在は、特定空家等になる前の段階である管理不全空家等についても、指導・勧告の対象となる仕組みがあります。

「倒壊しそうになるまで大丈夫」という考え方は適切ではありません。


失敗③「固定資産税が安いから建物を残す」と考える

住宅用地特例があるからといって、空き家を放置してよいわけではありません。

管理不全空家等や特定空家等について勧告を受けた場合、一定の要件のもとで住宅用地特例が適用されなくなる可能性があります。


失敗④ 相続人同士で話し合わない

相続した空き家について、相続人の間で方針を決めないまま放置すると、売却や活用などの判断が難しくなることがあります。

特に相続人が複数いる場合は、早めに話し合うことが重要です。


失敗⑤ 方針を決めないまま時間だけが経過する

空き家問題で避けたいのが、

「とりあえず何もしない」

という状態です。

今すぐ売却・解体を決める必要はありません。

まずは現在の状態を確認し、

「管理するのか」「売却するのか」「解体するのか」「活用するのか」

を検討しましょう。


11.空き家放置リスクのチェックリスト

以下の項目に当てはまるものがないか確認してみましょう。

建物・敷地の状態

  • 屋根に破損や劣化がある
  • 外壁にひび割れや剥がれがある
  • 雨漏りがある
  • 建物が傾いている
  • 窓ガラスが割れている
  • 庭木が伸び放題になっている
  • 雑草が繁茂している
  • 害虫・害獣が発生している
  • ごみや放置物がある
  • 不法侵入や不法投棄の形跡がある

管理状況

  • 長期間、現地を確認していない
  • 換気をしていない
  • 通水をしていない
  • 郵便物を回収していない
  • 台風や大雨の後に建物を確認していない
  • 遠方に住んでいて自分で管理するのが難しい

相続・所有関係

  • 相続した空き家をそのままにしている
  • 相続登記の状況を確認していない
  • 相続人同士で今後の方針を話し合っていない
  • 所有者が誰なのか確認できていない
  • 誰が空き家を管理するのか決まっていない

行政・近隣関係

  • 市区町村から空き家に関する通知が届いた
  • 空き家の管理について行政から指導を受けた
  • 勧告を受けた
  • 近隣住民から苦情や要望があった
  • 建物や庭木について近隣から改善を求められている

1つでも気になる項目がある場合は、空き家の現状を確認し、今後の対応を検討することをおすすめします。


まとめ|空き家は「問題が大きくなる前」に対応することが重要

空き家は、放置すればするほど建物の老朽化や周辺環境への影響が大きくなる可能性があります。

そして現在は、特定空家等だけでなく、特定空家等になるおそれのある**「管理不全空家等」**についても、行政による指導・勧告の対象となる仕組みがあります。

さらに、勧告を受けた場合には、一定の要件のもとで住宅用地特例が適用されなくなり、固定資産税の負担が大きくなる可能性があります。

そのため、

「まだ問題になっていないから大丈夫」

と考えるのではなく、

  1. 空き家の状態を確認する
  2. 所有者・相続関係を確認する
  3. 管理を続けるのか、売却・解体・活用するのか検討する
  4. 必要に応じて専門家へ相談する

という早めの対応が大切です。


空き家についてお悩みの方はご相談ください

「相続した実家をどうすればいいのか分からない」

「空き家を長期間放置している」

「市区町村から通知が届いて不安」

「売却・解体・活用のどれを選べばいいのか分からない」

このような空き家のお悩みは、問題が大きくなる前に一度ご相談ください。

行政書士は、相続や行政手続、各種許認可などの業務を通じて、空き家問題の整理をサポートできる場合があります。

また、案件によっては、

  • 不動産会社
  • 司法書士
  • 税理士
  • 建築士
  • 解体事業者

など、他の専門家との連携が必要になる場合もあります。

当事務所では、まず現在の状況を整理し、

「何が問題なのか」
「何から始めればいいのか」
「今後どのような選択肢があるのか」

を一緒に確認することから始めます。

空き家について、

「まだ相談するほどではないかもしれない」

と思っている段階でも構いません。

早めに状況を整理することで、売却・活用・解体・管理など、さまざまな選択肢を検討しやすくなります。

空き家をどうすればいいのか分からない方は、お気軽にご相談ください。

鹿児島県鹿児島市春山町の行政書士新川憲一事務所です。
「許可が必要なのか分からない」
「自分で申請するのは難しそう」
「必要書類について相談したい」
このようなお悩みでも、お気軽にご相談ください。

鹿児島市日置市及び近隣地域で、皆様の手続きを全力でサポート致します。


初回のお問い合わせ・ご相談はLINEまたはメールでお願い致します。

ちょっとした疑問や「まず話を聞いてみたい」というご相談もお気軽にどうぞ。

お問い合わせ・ご相談には、24時間以内の返信を心がけています。

対応可能な業務か分からない場合でも、まずはお気軽にお問い合わせください。


行政書士新川憲一事務所
鹿児島県鹿児島市春山町
一つひとつの確認を丁寧に行い、迅速・正確・誠実な対応を徹底します。
「凡事徹底」の姿勢を大切にし、お客様の大切な手続きを責任を持ってサポートします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です