相続人の一人と連絡が取れない場合どうする?|遺産分割協議を進める方法を行政書士が解説

親や家族が亡くなり、相続手続きを始めようとしたところ、

「相続人の一人と連絡が取れない」

「昔から疎遠で、住所も電話番号もわからない」

「何度連絡しても返事がない」

このようなケースがあります。

相続人が一人でも連絡を取れないからといって、その人を除外して遺産分割協議を進めることはできるのでしょうか?

結論として、原則として、連絡が取れない相続人を除外して遺産分割協議を成立させることはできません。

この記事では、相続人の一人と連絡が取れない場合に、どのように対応すればよいのかを解説します。

1.連絡が取れない相続人を無視して遺産分割できる?

原則としてできません。

遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があります。

例えば、父親が亡くなり、相続人が長男・長女・次男の3人だったとします。

次男と連絡が取れないからといって、

「長男と長女だけで話し合って預金を分ける」

ということは原則としてできません。

次男を除外した遺産分割協議書を作成しても、適切な遺産分割協議とはいえない可能性があります。

そのため、まずは連絡が取れない相続人の所在を調べることが重要です。

2.まずは相続人の住所を調べる

相続人の現在の住所がわからない場合、戸籍を調査することで住所を確認できる場合があります。

相続手続きでは、亡くなった方の戸籍を調査して相続人を確定するだけでなく、必要に応じて相続人の戸籍の附票などを確認し、住所を調べることがあります。

例えば、

「昔は鹿児島に住んでいたが、現在どこにいるかわからない」

という場合でも、戸籍関係の書類から現在の住所を確認できる可能性があります。

ただし、取得できる書類や請求できる範囲にはルールがあります。

3.住所がわかったら、まず書面で連絡する

住所が判明したら、電話だけでなく、手紙などの書面で連絡する方法があります。

手紙には、

  • 被相続人が亡くなったこと
  • 自分が相続人であること
  • 相続手続きを進める必要があること
  • 遺産分割について話し合いたいこと
  • 連絡してほしいこと

などを記載します。

いきなり「この内容で遺産分割してください」と一方的に送るのではなく、まずは事情を説明して話し合いの機会を作ることが大切です。

4.何度連絡しても返事がない場合は?

住所がわかっていても、手紙を送っても返事がない場合があります。

この場合も、

「返事がないから、その人を除いて手続きを進めよう」

と考えるのは危険です。

相続人が意図的に返事をしていないのか、病気や入院などで連絡できないのか、住所は合っているものの実際には住んでいないのかなど、さまざまな可能性があります。

まずは、送付した書面や郵便物などの記録を残しておきましょう。

5.長期間、行方がわからない場合は「不在者財産管理人」という制度がある

相続人の所在がわからず、遺産分割協議を進めることができない場合には、不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てる方法があります。

不在者財産管理人は、従来の住所・居所を去って容易に戻る見込みのない人の財産を管理するために、家庭裁判所が選任する管理人です。

必要に応じて、家庭裁判所の許可を得たうえで、遺産分割協議などを行うことがあります。

この手続きは家庭裁判所への申立てが必要になるため、行政書士が代理して行うことはできません。

必要に応じて、弁護士や司法書士などの専門家に相談しましょう。

6.生死すらわからない場合はどうする?

長期間にわたって連絡が取れず、

「そもそも生きているのかどうかわからない」

というケースもあります。

この場合には、失踪宣告という制度が関係することがあります。

失踪宣告は、一定の要件を満たす場合に、法律上その人を死亡したものとみなす制度です。

ただし、失踪宣告は家庭裁判所の手続きになります。

単に「連絡が取れない」というだけで、すぐに失踪宣告が認められるわけではありません。

具体的な事情に応じて、専門家や家庭裁判所に確認する必要があります。

7.認知症などで本人が話し合いできない場合は?

連絡は取れるものの、相続人本人が認知症などの事情により、遺産分割について判断することが難しいケースもあります。

この場合も、本人を無視して他の相続人だけで遺産分割協議を進めることはできません。

成年後見制度などが問題となる場合があります。

このようなケースでは、司法書士・弁護士など、家庭裁判所の手続きに対応できる専門家への相談が必要になることがあります。

8.「相続人が一人いない状態」で銀行手続きはできる?

銀行預金についても注意が必要です。

遺産分割協議が必要なケースでは、相続人の一人が連絡不通だからといって、その人を除外して自由に預金を処理できるとは限りません。

銀行によって必要書類や手続きが異なるため、金融機関に確認する必要があります。

まず相続人を確定し、遺言書の有無を確認したうえで、金融機関に相続手続きについて問い合わせるとよいでしょう。

9.相続人の住所調査は行政書士に相談できる?

相続人の一人と連絡が取れない場合、まず重要なのが、

「本当に連絡先がわからないのか」

を確認することです。

戸籍などを調査することで、相続人を確定したり、相続人の住所を確認したりできる場合があります。

行政書士は、業務範囲内で、

  • 相続人調査
  • 戸籍収集
  • 相続関係説明図の作成
  • 相続人の住所確認に必要な戸籍関係書類の収集
  • 遺産分割協議書の作成

などをサポートできます。

ただし、家庭裁判所への申立てや、相続人同士の紛争については行政書士の業務範囲外となります。

10.相続人が連絡不通の場合にやってはいけないこと

最後に、特に注意したいことをまとめます。

① 連絡が取れない相続人を勝手に相続から外す

連絡が取れないからといって、その人が相続人ではなくなるわけではありません。

② 他の相続人だけで遺産分割協議書を作る

相続人全員による協議が必要となるケースで、一人を除外して作成するのは避けましょう。

③ 預金を勝手に処分する

相続財産を一部の相続人だけで処分すると、後々トラブルになる可能性があります。

④ 連絡が取れないから「死亡した」と考える

長期間連絡が取れなくても、法律上当然に死亡したことになるわけではありません。

11.相続人と連絡が取れない場合の対応まとめ

相続人の一人と連絡が取れない場合は、次のように対応するとよいでしょう。

① 相続人を確定する

↓

② 連絡が取れない相続人の住所を調べる

↓

③ 判明した住所に書面などで連絡する

↓

④ 連絡した記録を残す

↓

⑤ それでも所在がわからない場合は専門家に相談する

↓

⑥ 必要に応じて不在者財産管理人などの家庭裁判所の手続きを検討する

重要なのは、「連絡が取れないから、その人を無視して相続手続きを進める」という対応をしないことです。

相続人が一人でも欠けた状態で手続きを進めると、後から大きな問題になる可能性があります。

まとめ

相続人の一人と連絡が取れない場合でも、その人が相続人である以上、原則として勝手に除外することはできません。

まずは戸籍などを確認して相続人を確定し、必要に応じて住所を調査して連絡を試みましょう。

それでも所在がわからない場合には、不在者財産管理人などの家庭裁判所の手続きが必要になる場合があります。

また、相続人が認知症などで判断が難しい場合や、相続人同士で争いがある場合など、事情によって対応は大きく異なります。

「相続人の一人と連絡が取れないけれど、相続手続きを進めたい」

という場合は、まず現在の状況を整理し、対応できる専門家に相談することをおすすめします。

相続手続きでお困りの方へ

当事務所では、行政書士が対応できる範囲で、相続人調査、戸籍収集、相続関係説明図の作成、遺産分割協議書の作成などをサポートしています。

家庭裁判所への申立てや相続人間の紛争など、行政書士の業務範囲を超える場合には、必要に応じて司法書士・弁護士などの専門家をご案内します。

「相続人と連絡が取れず、何から始めればいいかわからない」という方も、まずはご相談ください。

鹿児島県鹿児島市春山町の行政書士新川憲一事務所です。
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行政書士新川憲一事務所
鹿児島県鹿児島市春山町
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「相続人の一人と連絡が取れない場合どうする?」一問一答

第1問

相続人の一人と連絡が取れない場合、その人を除外して遺産分割協議をしてもよい?

答え:×

原則として、相続人全員で遺産分割について話し合う必要があります。連絡が取れないことだけを理由に、その人を除外することはできません。

第2問

連絡が取れない相続人の住所を、戸籍関係の書類から確認できる場合がある?

答え:○

戸籍の附票などを利用して、相続人の住所を確認できる場合があります。

第3問

相続人の住所がわかったら、まず書面などで連絡を試みる方法がある?

答え:○

手紙などで、被相続人が亡くなったことや相続手続きについて話し合いたいことを伝える方法があります。

第4問

何度連絡しても返事がなければ、その相続人を無視して遺産分割協議を進めてもよい?

答え:×

返事がないからといって、その相続人を勝手に除外して手続きを進めることは避ける必要があります。

第5問

相続人の所在がわからない場合、不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てる方法がある?

答え:○

一定の要件のもとで、不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てることができます。

第6問

不在者財産管理人は、相続人が連絡を取れない場合に必ず選任される?

答え:×

家庭裁判所が必要性や要件などを確認したうえで選任します。連絡が取れないというだけで、必ず選任されるわけではありません。

第7問

長期間連絡が取れない相続人は、連絡が取れないだけで法律上死亡したことになる?

答え:×

単に長期間連絡が取れないだけでは、法律上当然に死亡したことにはなりません。

第8問

一定の要件を満たせば、失踪宣告によって法律上死亡したものとみなされる場合がある?

答え:○

一定の要件を満たした場合、家庭裁判所の手続きによって失踪宣告がされることがあります。

第9問

連絡が取れない相続人がいても、他の相続人だけで勝手に預金を処分してよい?

答え:×

相続財産を一部の相続人だけで処分すると、後々トラブルになる可能性があります。金融機関の手続きも含め、適切に対応する必要があります。

第10問

行政書士は、業務範囲内で相続人調査や戸籍収集、遺産分割協議書の作成をサポートできる?

答え:○

行政書士は、業務範囲内でこれらの相続手続きをサポートできます。ただし、家庭裁判所への申立てや相続人同士の紛争などは行政書士の業務範囲外となるため、司法書士・弁護士などへの相談が必要になる場合があります。

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