産業廃棄物収集運搬業許可は法人設立前でも申請できる?個人で申請する場合の注意点を解説
「これから会社を設立して産業廃棄物収集運搬業を始めたい。法人を設立する前に許可申請はできるの?」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、法人として産業廃棄物収集運搬業を行う予定であれば、法人設立前に「法人名義」で許可申請することはできません。
一方で、法人を設立する前に、個人事業主として産業廃棄物収集運搬業許可を申請・取得することは可能です。
ただし、個人で取得した許可を、後から設立した法人へそのまま引き継げるわけではありません。
この記事では、法人設立前に産業廃棄物収集運搬業許可を取得したい方に向けて、申請の考え方と注意点をわかりやすく解説します。
産業廃棄物収集運搬業許可は「申請者」に対して与えられる
産業廃棄物収集運搬業許可は、産業廃棄物の収集・運搬を業として行おうとする者が取得する許可です。
環境省の案内でも、申請者が「法人」の場合と「個人」の場合で、添付する書類が区別されています。
法人の場合は定款や登記事項証明書など、個人の場合は住民票や資産に関する調書などが必要になります。(環境省)
つまり、まだ法人が設立されていない段階では、当然ながらその法人名義で申請することはできません。
法人設立前に「法人名義」で申請することはできない
例えば、
「8月に株式会社を設立する予定なので、7月に株式会社○○名義で産業廃棄物収集運搬業許可を申請したい」
というケースです。
この場合、法人がまだ存在していないため、法人名義での許可申請はできません。
法人として許可を取得するのであれば、基本的には、
法人設立 → 法人名義で許可申請
という順番になります。
鹿児島県でも、産業廃棄物収集運搬業許可の新規申請について、申請書と必要な添付書類を提出する仕組みになっています。(鹿児島県公式サイト)
個人事業主としてなら法人設立前でも申請できる
では、法人を設立する前に産業廃棄物収集運搬業許可を取得することは一切できないのでしょうか。
そうではありません。
個人事業主として事業を行うのであれば、個人として許可申請をすることができます。
例えば、
- 個人事業主として開業
- 個人名義で産業廃棄物収集運搬業許可を申請
- 許可取得
- 個人事業として営業
という流れです。
実際、許可申請では法人だけでなく個人についても必要書類が定められています。(環境省)
「個人で許可を取ってから法人化」は注意が必要
ここが非常に重要なポイントです。
「まず個人で許可を取って、あとから会社を設立すればいい」
と考える方もいるかもしれません。
しかし、個人事業主として取得した産業廃棄物収集運搬業許可を、そのまま設立した法人へ引き継ぐことはできません。
なぜなら、許可を受けている事業者が、
「個人」
から
「法人」
へ変わるからです。
個人と法人は別の法律上の主体です。
そのため、将来的に法人化する予定が明確である場合は、最初から法人を設立して、その法人で許可申請を行うことを検討した方がよいでしょう。
個人から法人に変わる場合は新たな許可申請が必要になる
例えば、Aさんが個人事業主として産業廃棄物収集運搬業許可を取得したとします。
その後、Aさんが株式会社Aを設立した場合、
Aさん個人の許可=株式会社Aの許可
とはなりません。
個人から法人への変更については、単純な住所変更や車両変更とは性質が異なります。
したがって、法人として事業を継続する場合には、法人名義で改めて許可を取得することを検討する必要があります。
なお、許可に関する変更届では、名称や住所、役員、車両などの変更が対象となっていますが、許可申請自体は申請者を基準として行われます。(環境省)
これから法人を設立する人は「先に法人設立」がおすすめ
これから会社を設立して産業廃棄物収集運搬業を始める予定なら、
法人設立前に個人で許可を取得するより、法人設立後に法人名義で申請する
という方法が基本的にはわかりやすいでしょう。
特に、
- 株式会社・合同会社を設立する予定
- 法人として建設業を行う予定
- 法人名義で建設廃棄物を運搬する予定
- 法人として元請・下請会社と契約する予定
という場合は、最初から法人で許可を取得することを検討しましょう。
法人設立後の産業廃棄物収集運搬業許可申請で必要になる主な書類
法人として新規申請する場合、具体的な必要書類は自治体によって異なりますが、一般的には次のような書類を準備します。
1.許可申請書
産業廃棄物収集運搬業許可申請書を作成します。
2.事業計画の概要
どの産業廃棄物を、どこからどこへ、どのような車両で運搬するのかなどを記載します。
3.車両関係書類
収集運搬に使用する車両について、車検証等の書類や車両写真などを準備します。
鹿児島市の新規申請書類でも、運搬車両の写真や自動車検査証等の写しが必要書類として挙げられています。(鹿児島市政情報)
4.運搬容器等の資料
廃棄物の種類によっては、飛散・流出防止のために適切な容器等を使用する必要があります。
そのため、使用する容器類の写真などを準備します。
5.法人関係書類
法人の場合は、定款や履歴事項全部証明書などが必要になります。
6.経理的基礎に関する書類
法人の場合、直前3年の決算書や法人税に関する納税証明書などが必要になる場合があります。
鹿児島市の収集運搬業許可申請のチェック表でも、法人について決算書、確定申告書、法人税の納税証明書などが必要書類として示されています。(鹿児島市政情報)
設立したばかりの法人でも許可申請できる?
「法人を設立したばかりで、まだ決算を迎えていないけど許可申請できるの?」
という疑問もあります。
新設法人の場合、当然ながら過去3年分の決算書を用意することはできません。
そのため、新設法人については、通常の法人とは異なる追加資料や事業計画などが必要になる場合があります。
自治体によって取り扱いが異なるため、申請前に管轄行政庁へ確認することが重要です。
例えば京都府でも、法人設立から1期未満の場合について、追加書類が必要になる旨が案内されています。(京都府公式サイト)
鹿児島県で申請する場合は事前確認がおすすめ
鹿児島県で産業廃棄物収集運搬業許可を申請する場合、申請者の主たる事務所または事業場の所在地を管轄する地域振興局等が受付窓口となります。
ただし、主たる事務所等が鹿児島市の場合などは、鹿児島県の廃棄物・リサイクル対策課が窓口となる場合があります。(鹿児島県公式サイト)
また、鹿児島市については市が独自に産業廃棄物処理業の申請・届出を案内しています。
そのため、法人設立と許可申請を同時に進める場合は、どこに申請するのかを最初に確認しておくことが大切です。
法人設立と許可申請は計画的に進めよう
法人を設立して産業廃棄物収集運搬業を始める場合、次のような流れで準備するとスムーズです。
① 事業内容を決める
↓
② 法人設立
↓
③ 営業所・車庫・車両などを準備
↓
④ 講習会等の要件を確認
↓
⑤ 必要書類を準備
↓
⑥ 産業廃棄物収集運搬業許可を申請
↓
⑦ 許可取得後に営業開始
特に重要なのは、許可取得前に産業廃棄物の収集運搬業務を開始しないことです。
産業廃棄物収集運搬業を業として行う場合、原則として都道府県知事等の許可が必要です。(環境省)
まとめ
産業廃棄物収集運搬業許可は、法人を設立する前に「これから設立する法人」の名義で申請することはできません。
法人として事業を行うのであれば、
法人設立 → 法人名義で許可申請
という流れが基本です。
一方、個人事業主として事業を行うのであれば、法人設立前に個人として許可申請することは可能です。
ただし、個人で取得した許可を後から法人へそのまま引き継ぐことはできないため、将来的に法人化する予定がある方は、法人設立の時期と許可申請のタイミングを慎重に検討しましょう。
特に建設業者が法人設立と同時に産業廃棄物収集運搬業を始める場合には、建設業許可など他の許認可とのスケジュールも含めて、早めに準備しておくことをおすすめします。
一問一答
Q1.法人設立前に法人名義で産業廃棄物収集運搬業許可を申請できますか?
A.できません。法人が設立されてから、法人名義で申請することになります。
Q2.法人設立前に個人として申請することはできますか?
A.個人事業主として事業を行うのであれば、個人として申請することができます。
Q3.個人で取得した許可を、法人設立後にそのまま引き継げますか?
A.原則としてそのまま引き継ぐことはできません。個人と法人は別の事業者だからです。
Q4.これから会社を設立する予定なら、いつ許可申請するのがよいですか?
A.法人として事業を行う予定なら、法人設立後に法人名義で申請することを基本として考えるとよいでしょう。
Q5.設立したばかりで決算書がなくても申請できますか?
A.新設法人でも申請できる場合があります。ただし、過去の決算書がないため、追加資料などが必要になる場合があります。管轄行政庁への事前確認がおすすめです。
Q6.許可を取得する前に産業廃棄物を運搬してもよいですか?
A.原則としてできません。許可が必要な収集運搬業を行う場合は、必要な許可を取得してから営業を開始する必要があります。
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