実家を相続して空き家になったらどうする?必要な手続きと対策を行政書士が解説

「実家を相続したけれど、誰も住む予定がない」

「遠方に住んでいるので、空き家の管理ができない」

「売却したほうがいいのか、残しておくべきなのか分からない」

親から実家を相続した後、空き家の扱いに悩む方は少なくありません。

実家が空き家になった場合、何もせず放置しておくのはおすすめできません。

相続人や不動産の権利関係を整理したうえで、相続登記、建物の管理、家財の整理、売却・賃貸・自己利用・解体など、今後の方針を検討する必要があります。

特に現在は相続登記が義務化されているため、「とりあえずそのままにしておく」という対応には注意が必要です。

この記事では、実家を相続して空き家になった場合に、まず何をすればよいのか、どのような選択肢があるのか、行政書士に何を相談できるのかを分かりやすく解説します。


1.実家を相続して空き家になったら、まず確認すべき2つのこと

① 誰が不動産を取得するのか整理する

最初に確認したいのが、「誰が実家の土地・建物を取得するのか」という点です。

遺言書がある場合にはその内容を確認し、遺言書がない場合には、相続人間で遺産分割について話し合う必要があります。

相続人が複数いる場合には、例えば次のような事項を整理しておきましょう。

  • 土地・建物を誰が取得するのか
  • 実家を売却するのか、残すのか
  • 売却する場合の方針
  • 空き家の管理費用を誰が負担するのか
  • 家財や遺品をどのように整理するのか

相続した後になって家族間の意見が食い違うことを防ぐためにも、早い段階で話し合っておくことが大切です。


② 相続登記の状況を確認する

実家を相続した場合には、相続登記が済んでいるかどうかを確認しましょう。

相続登記は2024年4月1日から義務化され、不動産を相続したことを知った日から原則として3年以内に申請する必要があります。

正当な理由がないにもかかわらず義務に違反した場合には、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

また、2024年4月1日より前に発生した相続についても、相続登記が済んでいない場合は義務化の対象です。

この場合、原則として2027年3月31日までに相続登記を行う必要があります。

「昔の相続だから登記しなくても大丈夫」と考えず、登記の状況を確認しましょう。

※相続登記の申請代理は司法書士の専門分野です。行政書士は、戸籍収集、相続人調査、遺産分割協議書の作成など、相続登記の前提となる手続きをサポートできます。


2.空き家になった実家をどうする?5つの選択肢

相続人や名義などを整理したら、次に考えるのが「この実家を今後どうするのか」という問題です。

主な選択肢は次の5つです。

選択肢① 売却する

今後住む予定がなく、自分で管理することも難しい場合には、売却を検討します。

売却できれば、建物の維持管理や草刈り、防犯対策などの負担を軽減できる可能性があります。

相続した実家を売却する場合は、相続登記を済ませて所有者を明確にしておくことが重要です。

また、一定の要件を満たす場合には、**「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」**により、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる場合があります。

ただし、相続人が3人以上の場合は、2024年1月1日以後の譲渡について、控除額が最高2,000万円となる場合があります。さらに、建物の築年、相続後の利用状況、売却期限など、細かな要件があります。

そのため、売却を検討する段階で、税理士や税務署などに特例の適用要件を確認しておくことが大切です。


選択肢② 賃貸に出す

建物の状態が良く、賃貸需要が見込めるのであれば、賃貸住宅として活用する方法があります。

例えば、

  • 戸建て住宅として賃貸する
  • リフォームして賃貸する
  • 事業用物件として活用する

などが考えられます。

ただし、リフォーム費用、修繕費、固定資産税、管理費、入居者募集などについて検討しなければなりません。

「家賃収入が得られそう」というだけで判断するのではなく、必要な費用を含めて収支を確認することが大切です。


選択肢③ 自分や家族が利用する

相続人やその家族が住むという方法もあります。

また、

  • セカンドハウスとして利用する
  • 子どもの住居として利用する
  • 事業所として利用する

などの方法も考えられます。

ただし、建物が古い場合には修繕費が発生する可能性があります。

固定資産税や将来的な修繕費なども含めて、長期的に維持できるか検討しましょう。


選択肢④ 解体して土地として売却・活用する

建物の老朽化が進み、修繕して使用することが難しい場合には、解体という選択肢もあります。

ただし、

「古い家だから、とりあえず解体する」

という判断は避けたほうがよいでしょう。

解体費用が発生するだけでなく、解体後の土地をどうするのかという問題も残ります。

また、住宅用地に関する固定資産税の特例との関係についても確認が必要です。

そのため、解体する前に、

売却するのか、土地として活用するのか、建て替えるのか

など、解体後の方針まで考えておくことが大切です。


選択肢⑤ 当面は適切に管理する

すぐに売却・賃貸・解体などの方針を決められない場合もあります。

その場合でも、空き家をそのまま放置するのではなく、適切に管理することが重要です。

例えば、

  • 定期的な換気
  • 通水
  • 郵便物の確認
  • 庭木・雑草の管理
  • 雨漏りの確認
  • 屋根・外壁の状態確認
  • 不審者の侵入確認

などを行います。

遠方に住んでいて定期的な管理が難しい場合には、空き家管理サービスなどの利用も検討しましょう。


3.実家を空き家のまま放置するのが危険な理由

空き家は、人が住んでいる住宅と比べて建物や敷地の管理が行き届きにくくなります。

放置期間が長くなると、

  • 雨漏り
  • 屋根や外壁の劣化
  • 雑草や庭木の繁茂
  • 害虫や害獣
  • 不法侵入
  • 不法投棄

などの問題が発生する可能性があります。

また、適切な管理がされていない空き家については、周辺の生活環境に悪影響を及ぼすおそれがあります。

「誰も住んでいないから問題ない」と考えるのではなく、今後の方針を早めに検討することが重要です。


4.相続人が複数いる場合は特に注意

相続人が複数いる場合には、実家を共有することになるケースもあります。

共有状態になると、将来的な売却や活用、修繕などについて、共有者間で意思決定や調整が必要になる場面が生じます。

さらに、相続人の一人が亡くなって二次相続が発生すると、共有者が増えて権利関係が複雑になる可能性もあります。

そのため、

「とりあえず共有名義にする」

という決め方ではなく、将来売却するのか、誰かが住むのかなども考えて、相続人間で十分に話し合っておくことが大切です。


5.実家を相続したときによくある5つの失敗

失敗①「とりあえず放置」してしまう

「まだ売るかどうか決めていないから」と空き家を放置すると、建物や敷地の状態が悪化する可能性があります。

特に遠方に住んでいる場合は、定期的な管理が難しくなります。

方針が決まっていなくても、まずは管理方法を決めておくことが大切です。


失敗②「相続登記は売るときでいい」と先送りする

相続登記には申請期限があります。

「売却することになったら登記すればいい」と先延ばしにすると、後になって相続人の調査や遺産分割の整理が必要になり、売却までに時間がかかる可能性があります。

相続登記の期限を確認し、早めに司法書士などの専門家へ相談しましょう。


失敗③「とりあえず共有名義」にしてしまう

共有にした場合、将来の売却や活用などで共有者間の調整が必要になる場合があります。

また、二次相続が発生すると権利関係がさらに複雑になる可能性があります。

目先の相続だけでなく、将来の管理や売却まで考えて遺産分割を検討することが大切です。


失敗④「古いから」とすぐに解体する

古い建物だからといって、すぐに解体するとは限りません。

解体費用がかかるうえ、解体した後の土地の活用方法が決まっていなければ、土地だけが残ることになります。

解体する前に、売却・活用・建て替えなどを検討しましょう。


失敗⑤ 税金の特例を確認せずに売却する

相続した空き家を売却する際には、一定の要件を満たすことで「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を利用できる場合があります。

この特例は、売却期限、建物の要件、相続後の利用状況など、複数の条件があります。

売却を決める前に、税理士や税務署などへ確認しておきましょう。


6.空き家対策チェックリスト

実家を相続した方は、次の項目を確認してみましょう。

【相続関係】

□ 遺言書の有無を確認した
□ 相続人を確認した
□ 戸籍等を収集した
□ 遺産分割協議を行った
□ 実家を誰が取得するのか決めた
□ 相続登記の状況を確認した

【建物・空き家の管理】

□ 雨漏りを確認した
□ 屋根・外壁の状態を確認した
□ 庭木・雑草を確認した
□ 家財・遺品の整理方針を決めた
□ 電気・水道などの状況を確認した
□ 防犯対策を確認した
□ 定期的な管理方法を決めた

【今後の方針】

□ 売却を検討した
□ 賃貸を検討した
□ 自分や家族が利用するか検討した
□ 解体するか検討した
□ 当面維持・管理する方法を決めた

【専門家への相談】

□ 相続手続きについて行政書士に相談した
□ 相続登記について司法書士に相談した
□ 税金や特例について税理士・税務署に確認した
□ 売却・査定について不動産会社に相談した


7.行政書士に相談できること

実家を相続して空き家になった場合、行政書士は相続に関する書類作成や相続人調査などをサポートできます。

例えば、

  • 相続人調査
  • 戸籍等の収集
  • 相続関係説明図の作成
  • 遺産分割協議書の作成
  • 相続に関する各種書類の作成
  • 官公署に提出する書類の作成
  • 空き家に関する行政手続きの相談・書類作成

などです。

ただし、相続登記の申請代理は司法書士、税務申告は税理士、不動産売買の仲介は宅地建物取引業者など、それぞれ専門分野があります。

そのため、行政書士だけですべてを処理するのではなく、必要に応じて他の専門家と連携しながら進めることが重要です。


8.実家を相続したら、まず「現状を整理」しましょう

実家を相続して空き家になったとき、最初から「売る」「解体する」と決める必要はありません。

まず、

① 相続人を確認する

↓

② 誰が実家を取得するのか整理する

↓

③ 相続登記の状況を確認する

↓

④ 建物と土地の状態を確認する

↓

⑤ 売却・賃貸・自己利用・解体・管理を比較する

という順番で整理すると、今後の方向性を決めやすくなります。

特に、相続した実家については、「売却したほうがよいのか」「残したほうがよいのか」「解体したほうがよいのか」を家族だけで判断するのが難しいケースもあります。


まとめ

実家を相続して空き家になったら、まずは相続関係と不動産の権利関係を整理することが大切です。

そのうえで、

「売却する」
「賃貸する」
「自分や家族が利用する」
「解体して土地として活用・売却する」
「当面は適切に管理する」

といった選択肢を比較して、今後の方針を決めましょう。

特に注意したいのが相続登記です。

相続登記は2024年4月1日から義務化され、相続したことを知った日から原則3年以内に申請する必要があります。2024年4月1日より前の相続についても対象となり、未登記の場合は原則として2027年3月31日までに対応する必要があります。

また、相続した空き家を売却する場合には、一定の要件を満たすことで、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例を利用できる場合があります。なお、適用要件や控除額については個別の確認が必要です。

空き家は、何もしないまま時間が経過すると、建物の老朽化や管理負担などの問題が大きくなる可能性があります。

「何から始めればいいのか分からない」

という段階でも、まずは現在の相続関係や不動産の状況を整理することから始めましょう。


実家を相続したけれど、何から始めればいいか分からない方へ

実家を相続した後は、相続登記だけでなく、空き家の管理、家財整理、売却・活用など、考えることがたくさんあります。

「相続人が誰なのか整理できていない」

「遺産分割協議書を作成したい」

「空き家になった実家を今後どうすればよいのか整理したい」

このようなお悩みがありましたら、まずは現在の状況を整理してみてください。

行政書士は、相続人調査、戸籍等の収集、遺産分割協議書などの書類作成を通じて、相続手続きをサポートできます。

また、相続登記は司法書士、税務については税理士、不動産の売却については不動産会社など、必要な専門家と連携しながら進めることもできます。

実家を相続したものの、何から手を付ければいいのか分からない方は、お気軽にご相談ください。

鹿児島県鹿児島市春山町の行政書士新川憲一事務所です。
「許可が必要なのか分からない」
「自分で申請するのは難しそう」
「必要書類について相談したい」
このようなお悩みでも、お気軽にご相談ください。

鹿児島市日置市及び近隣地域で、皆様の手続きを全力でサポート致します。


初回のお問い合わせ・ご相談はLINEまたはメールでお願い致します。

ちょっとした疑問や「まず話を聞いてみたい」というご相談もお気軽にどうぞ。

お問い合わせ・ご相談には、24時間以内の返信を心がけています。

対応可能な業務か分からない場合でも、まずはお気軽にお問い合わせください。


行政書士新川憲一事務所
鹿児島県鹿児島市春山町
一つひとつの確認を丁寧に行い、迅速・正確・誠実な対応を徹底します。
「凡事徹底」の姿勢を大切にし、お客様の大切な手続きを責任を持ってサポートします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です