【2026年最新】行政書士法が改正されました|令和7年法律第65号の改正ポイントをわかりやすく解説

行政書士法が改正され、令和8年(2026年)1月1日から施行されました。

今回の改正は、行政書士の使命や職責を明確にするとともに、デジタル社会への対応、特定行政書士の業務範囲の拡大、行政書士でない者による業務の制限の明確化、両罰規定の整備などを行ったものです。

この記事では、今回の「行政書士法の一部を改正する法律」(令和7年法律第65号)について、改正前と改正後を比較しながら、行政書士の実務や事業者にとって特に重要なポイントをわかりやすく解説します。


目次

  1. 行政書士法はなぜ改正された?
  2. 行政書士法改正の概要
  3. 第1条|行政書士の「使命」が明確化
  4. 第1条の2|行政書士の「職責」が新設
  5. 第1条の4|特定行政書士の業務範囲が拡大
  6. 第19条|行政書士でない者の業務制限が明確化
  7. 第23条の3|両罰規定が整備
  8. 改正内容を一覧表で比較
  9. 今回の改正が実務に与える影響
  10. 建設業許可・古物商・自動車関係業務への影響
  11. 今回の改正で注意したいポイント
  12. まとめ

1.行政書士法はなぜ改正された?

今回の行政書士法改正は、令和7年(2025年)6月13日に公布された「行政書士法の一部を改正する法律」(令和7年法律第65号)によるものです。

施行日は令和8年(2026年)1月1日です。

日本行政書士会連合会によると、今回の改正では、社会のデジタル化など行政書士制度を取り巻く環境の変化を踏まえ、行政書士の使命・職責を明確にするとともに、特定行政書士の業務範囲の拡大や業務制限規定の明確化などが行われました。

今回の改正を一言で表すなら、

行政書士が果たす役割と責任を明確にし、現代の行政手続やデジタル社会に対応するための改正

といえるでしょう。


2.行政書士法改正の概要

今回の主な改正ポイントは、次のとおりです。

① 行政書士の「使命」を明確化

行政書士が行政手続を通じて、国民の利便や権利利益の実現に資することを使命として明確にしました。

② 行政書士の「職責」を新設

品位の保持、法令・実務への精通、公正・誠実な業務、デジタル社会への対応などについて規定されました。

③ 特定行政書士の業務範囲を拡大

行政書士が「作成した」書類だけでなく、行政書士が「作成することができる」書類に係る許認可等についても、一定の行政不服申立て手続を扱えるようになりました。

④ 業務制限規定を明確化

行政書士でない者が、他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て行政書士業務を行うことについて、規定の趣旨が明確化されました。

⑤ 両罰規定を整備

一定の違反について、実際に違反行為をした者だけでなく、その者が所属する法人にも罰金刑が科される仕組みが整備されました。


3.第1条|行政書士の「使命」が明確化

今回の改正で、行政書士法第1条に行政書士の「使命」が明確に規定されました。

行政書士は、その業務を通じて、

  • 行政に関する手続の円滑な実施に寄与する
  • 国民の利便に資する
  • 国民の権利利益の実現に資する

ことを使命とします。

これは行政書士の仕事を考えるうえで非常に重要な改正です。

行政書士の仕事は、単に申請書や届出書を作成するだけではありません。

例えば、

  • 建設業許可
  • 古物商許可
  • 産業廃棄物収集運搬業許可
  • 自動車登録
  • 車庫証明
  • 在留資格に関する手続
  • 各種営業許可

など、行政手続を通じて個人や事業者の活動を支援しています。

今回の改正によって、行政書士がこうした業務を通じて国民の権利利益の実現に資する専門家であることが、法律上明確に示されたといえます。


4.第1条の2|行政書士の「職責」が新設

今回の改正では、行政書士の職責についても明確な規定が設けられました。

行政書士には、

  • 常に品位を保持すること
  • 業務に関する法令・実務に精通すること
  • 公正かつ誠実に業務を行うこと

が求められています。

さらに重要なのが、デジタル社会への対応です。

行政書士は、業務を行うに当たって、デジタル社会の進展を踏まえ、

  • 情報通信技術の活用
  • その他の取組

を通じて、

  • 国民の利便性の向上
  • 行政書士業務の改善・進歩

を図るよう努めなければならないとされています。

つまり、行政書士にとってデジタル化への対応は、単なる「便利なIT技術を使いましょう」という話ではありません。

法律上の職責として位置付けられたことが重要です。


5.第1条の4|特定行政書士の業務範囲が拡大

今回の改正では、特定行政書士の業務範囲も拡大されました。

改正前は、基本的に行政書士が**「作成した」**官公署提出書類に係る許認可等について、行政不服申立ての手続を代理することができる仕組みでした。

改正後は、

行政書士が「作成することができる」

官公署提出書類に係る許認可等についても、一定の行政不服申立て手続を扱えるようになりました。

この改正によって、例えば本人が自ら申請した案件であっても、その申請に係る書類が行政書士の業務範囲に含まれるものであれば、一定の場合に特定行政書士が不服申立てを扱える可能性があります。

これは特定行政書士の業務範囲を考えるうえで重要な改正です。

ただし、「本人申請ならすべて特定行政書士が不服申立てを代理できる」という意味ではありません。

実際に受任する場合には、対象となる許認可や行政処分、行政不服審査法上の要件などを個別に確認する必要があります。


6.第19条|行政書士でない者の業務制限が明確化

今回の改正で、特に注目されているのが行政書士法第19条です。

改正後の第19条第1項では、行政書士または行政書士法人でない者について、

「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」

という文言が加えられました。

この改正によって、報酬の名前ではなく、実質的に対価を受けて行政書士業務を行っているかどうかが重要であることが、条文上より明確になりました。


「コンサルタント料」なら大丈夫?

例えば、

「書類作成料は無料です」

としながら、

「コンサルタント料」

「手数料」

「会費」

「商品代金」

などの名目で対価を受け取っている場合です。

このような場合、単純に報酬の名称だけを見て、

「書類作成料ではないから行政書士法には関係ない」

と判断することはできません。

日本行政書士会連合会は、今回の改正について、どのような名目であっても対価を受領して業として対象となる書類を作成することは、第19条第1項の業務制限に違反することが明確化されたものと説明しています。

また、重要なのは、この改正によって初めて違法になったという意味ではないという点です。

日行連は、こうした行為は改正前から第19条第1項に違反するものであり、今回の改正はその趣旨を明確化したものと説明しています。


7.第23条の3|両罰規定が整備

今回の改正では、第23条の3の両罰規定も整備されました。

両罰規定とは、簡単に説明すると、

違反行為をした本人だけでなく、一定の場合には、その法人にも罰則を科す

という仕組みです。

今回の改正では、行政書士または行政書士法人でない者による第19条第1項の業務制限違反などについて、違反行為者だけでなく、その者が所属する法人にも罰則が及ぶことになりました。

第19条第1項の業務制限違反については、その法人に対して100万円以下の罰金が科されることとされています。

つまり、会社として行政書士業務に該当するサービスを提供する場合には、

「実際に書類を作ったのは従業員だから会社には関係ない」

という単純な考え方では済まなくなります。

法人として業務内容を適切に管理することが重要です。


8.改正内容を一覧表で比較

今回の改正を整理すると、次のようになります。

条文改正前改正後実務への影響
第1条行政書士制度の目的を規定行政書士の使命を明確化行政手続の円滑化、国民の利便・権利利益の実現に資する専門家としての役割を明確化
第1条の2職責に関する規定なし職責を新設。品位保持、法令・実務への精通、公正・誠実な業務、デジタル社会への対応等を規定法令・実務の研鑽だけでなく、デジタル化への対応も重要に
第1条の4行政書士が「作成した」書類に係る許認可等について一定の不服申立て手続を代理行政書士が「作成することができる」書類に係る許認可等まで対象を拡大特定行政書士の不服申立て業務の対象範囲が拡大
第19条行政書士でない者による業務制限を規定「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言を追加報酬の名称にかかわらず、実質的な対価を得て行政書士業務を行うことについて規定の趣旨を明確化
第23条の3両罰規定第19条違反等について両罰規定を整備一定の場合、違反行為者だけでなく法人にも罰則が及ぶ

※今回の改正については、日本行政書士会連合会が公表している法律案要綱および改正趣旨も併せて確認することをおすすめします。


9.今回の改正が実務に与える影響

今回の改正によって、行政書士業務について改めて確認しておきたいポイントがあります。

① 行政書士の使命を意識する

行政書士は、単に書類を作成するだけではありません。

行政手続を円滑に進め、依頼者の利便性を高め、権利利益の実現を支援することが行政書士の使命として明確になりました。

② 法令・実務を継続的に勉強する

第1条の2では、業務に関する法令・実務に精通することが職責として規定されています。

行政書士業務では、行政書士法だけを知っていればよいわけではありません。

例えば建設業許可なら建設業法、古物商許可なら古物営業法、自動車登録なら道路運送車両法など、それぞれの業務に関連する法律を確認する必要があります。

③ デジタル化への対応

電子申請やオンライン手続など、行政手続のデジタル化は今後さらに進んでいくことが予想されます。

今回の改正では、こうした社会の変化を踏まえた対応が職責として規定されました。

④ 業務範囲を正しく理解する

行政書士ができる業務だけでなく、

行政書士にはできない業務

を理解することも重要です。

他士業の独占業務などにも注意し、必要に応じて適切な専門家へつなぐことが大切です。


10.建設業許可・古物商・自動車関係業務への影響

今回の改正は、行政書士が扱うさまざまな許認可業務に関係します。

建設業許可

建設業許可では、

  • 新規許可
  • 更新
  • 業種追加
  • 変更届
  • 決算変更届
  • 経営事項審査

など、さまざまな行政手続があります。

依頼者から報酬を受けて官公署に提出する書類を作成する場合には、行政書士法だけでなく、建設業法など関係法令についても正確に理解する必要があります。

古物商許可

古物商許可についても、

  • 新規許可申請
  • 営業所変更
  • 管理者変更
  • 変更届

など、さまざまな手続があります。

行政書士として受任する場合には、古物営業法と行政書士法の両方から業務を確認することが重要です。

自動車関係業務

自動車関係では、

  • 車庫証明
  • 自動車登録
  • 名義変更
  • 住所変更
  • 抹消登録
  • 車検証再交付

などの手続があります。

特に第19条との関係では、自動車販売会社などが行政書士業務に該当する書類作成を行うケースについて注意が必要です。

日本行政書士会連合会は、2026年7月29日にも「自動車登録等の手続における行政書士法違反になるものと考えられる例」を公表しています。

自動車関係の業務を扱う場合には、今回の改正と併せて確認しておきたい資料です。


11.今回の改正で注意したいポイント

今回の改正について、特に注意したいのは次の3点です。

「新しく違法になった」と単純に考えない

第19条については、今回の改正で初めて無資格者による有償の書類作成が禁止されたわけではありません。

日行連は、従来から違反となる行為について、報酬の名目を問わないことを明確化したものと説明しています。

報酬の名称だけで判断しない

「コンサルタント料」「手数料」「会費」「商品代金」など、名称だけを変えれば行政書士法の規制を避けられるというものではありません。

実際にどのような業務を行い、その対価として何を受け取っているのかが重要です。

法人は社内の業務範囲にも注意する

第23条の3の両罰規定の整備により、一定の場合には法人にも罰則が及びます。

行政書士業務に該当するサービスを提供している企業などは、社内で誰がどのような書類作成を行っているのかを確認しておくことが重要です。


12.まとめ

令和7年法律第65号による行政書士法改正は、令和8年1月1日から施行されました。

今回の改正の重要ポイントをまとめると、

  • 第1条で行政書士の使命を明確化
  • 第1条の2で行政書士の職責を明確化
  • デジタル社会への対応を職責として規定
  • 第1条の4で特定行政書士の業務範囲を拡大
  • 第19条で業務制限規定の趣旨を明確化
  • 第23条の3で両罰規定を整備

という内容になっています。

今回の改正は、行政書士制度そのものの役割を改めて明確にするとともに、デジタル化が進む社会における行政書士の役割や、無資格者による業務への対応を明確にしたものといえます。

行政書士に相談する側にとっても、

「行政書士には何を依頼できるのか」

「行政書士でない業者に書類作成を依頼しても大丈夫なのか」

を考えるうえで、今回の改正は重要な意味を持っています。

行政手続や許認可について分からないことがある場合には、行政書士などの専門家に相談し、適切な手続を進めることが大切です。


参考資料

今回の改正については、日本行政書士会連合会が以下の資料を公表しています。

  • 「行政書士法の一部を改正する法律」の成立について
  • 「行政書士法第19条第1項及び第23条の3の改正の趣旨等について」
  • 「行政書士法の一部を改正する法律案要綱」
  • 「自動車登録等の手続における行政書士法違反になるものと考えられる例」

行政書士法を正しく理解するためには、今回の記事だけでなく、実際の条文や公式資料も確認することをおすすめします。

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